科学部デスク 小川祐二朗 年の瀬を迎え、この1年で得た教訓は何か考えた。教えられることが多かったが、最大の教訓はずばり、「政治家のスタンドプレーには気をつけろ」だ。 新型インフルエンザが流行した今年、担当デスクとして振り回されたという思いがあるからだ。 特に、深夜や早朝に緊急の記者会見を開いた舛添要一・前厚生労働相には、「何だかなあ」という感想だけが残った。非常事態で仕方がなかった面もあるにしても、会見時間の異様さが逆に、国民の危機感をあおる結果になった。専門家が決めたワクチン接種回数に駄目出しをし、医療現場を混乱させた足立信也・厚労省政務官にも同様の思いが残る。 「何だかなあ」の政治家は古今東西を問わない。ワクチンがらみで重い教訓を残しているのは、米国のフォード元大統領だ。 発端は1976年。ニュージャージー州にある陸軍施設で呼吸器症状を訴える兵士が急増し、これまで流行したことのないイン