子供の学力低下を招いたと批判される「ゆとり教育」。その脱却を目指し、来年度から中学校で実施される新学習指導要領を前に、ゆとり以前の昭和50年代前半の数学教科書が復刻され、現場の研究用教材として人気だ。3千セット発行されこの手の教材としては好調な売れ行きで、出版社にも問い合わせが相次いでいるという。(横山由紀子) 復刻された教科書は、啓林館(大阪市)の「新訂数学」で53年から55年に使用された。昭和の高い数学力を支えた教科書のひとつで、「集合の概念」をはじめ、「不等式」「二次方程式の解の公式」など現在は高校で教える内容を収録しているのが大きな特徴。 数学者の岡本和夫・東大名誉教授は「『新訂数学』は数学教育を構築した教科書といってもいい」と評価する。同社の統合企画部小・中企画課の中嶋朋宏課長は「教育転換の節目に、これからの数学指導を担う若い先生方の研究用教材として復刻しました。現場の教員から多