宮崎 駿「風立ちぬ」を見て 湯本雅典 (C)2013 二馬力・GNDHDDTK 宮崎駿の「風立ちぬ」を見に行った。封切から1週間、日曜日ということもあって大型館有楽町スカラ座は、満席の大盛況であった。私は、「ゼロ戦設計者の半生を描く」話と聞いて、初めは見る気がなかった。しかし、ジブリが冊子「熱風」で「憲法改正」を特集を組み、宮崎駿が「憲法を変えるなどもってのほか」という長文のエッセイを自らの戦争体験と重ね合わせ書いているのを見て、少し映画も観たくなった。彼は、「改憲」反対の立場を明確にしたのだ。しかし結果は、完全に私の期待を裏切るものであった。 映画の主人公の堀越二郎は、確かに夢を追い続けた。そして、戦争によりその技術が完全に利用されたことも「本意でなかった」ように描かれている。宮崎駿はその製作主旨を「自分の夢に忠実にまっすぐに進んだ人物を描きたいのである」(映画プログラム「企画書」より)