93年頃だったと思う。友達が「そういや、暴力温泉芸者の人が島田雅彦に『作家になりたいんですが』って言ってるのを見た」って教えてくれた。「もう、今すぐにでもなってほしい!」と思って数年後、文藝で彼の短編を偶然見つけたのだけど、あまりの素晴らしさに驚くと同時に、これは特殊な小説だと思ったので、どれくらい世に受け入れられるのかわからないなぁと思った。ただ、リスペクトしている二人の批評家―渡部直己とスガ秀実―がどう評価するかは見ものだと思っていて、万一、二人が評価しなかったら、もう本を読むのも小説を書くのもやめる!…などと鼻息を荒げていたのですが、仕事とかしてるうちに忘却の彼方へ…そして数年後の一昨日、渡部直己の『メルトダウンする文学への九通の手紙』をめくって中原昌也について言及しているところがあり、しかも中原昌也の小説が好きみたいで、ああよかった…と思った。 と、前置きが長くなったけれど、『メル