5月末、シエラレオネ東部のカイラハン地区でエボラ熱が初めて確認された。この時、政府はエボラ熱の感染者の見分け方と感染予防策――患者の血液や汗、唾液や死体に触れないことなど――について繰り返し告知した。だが、村民のほとんどはそんなアドバイスなど気にも留めなかった。それどころか、政府や支援機関は、病気の感染を拡大させようと目論んでいる、という荒唐無稽な噂さえ飛び交っている。 エボラ熱の感染拡大は、シエラレオネの一般住民と同国の政府、そして支援を提供する西側諸国の間にある拭い難い不信感を浮き彫りにしている。最近も、外国人の慈善活動家を含む埋葬チームがカイラハンの村に到着した際、埋葬班の印を掲げたクルマを見ただけで、女性や子供達が逃げ出す光景が見られた。男達は埋葬すべき遺体などないと拒み、埋葬チームを追い払った。こうした例は枚挙にいとまがない。 シエラレオネの中には、次のような懸念を口にする人がい