NISA、iDeCo、ふるさと納税……。近年、お金の話題はますます身近になりつつある。そんな今、現代人の金にまつわる葛藤を描く、羽田圭介さんの注目の新作小説が『Phantom』だ。生活を切り詰めて将来のために投資をする主人公・華美。一方、恋人の直幸は「使わないお金は死んでいる」と彼女を笑い、オンラインサロンの活動にのめりこんでいく。芥川賞受賞から6年、羽田さんがたどり着いたお金にまつわる意外な結論とは――? ◆ ◆ ◆ 専業作家になってお金に不安が出てきた ——『Phantom』執筆のきっかけを教えてください。 僕は高校時代に小説家としてデビューして、会社員を1年半だけやってたんですね。その後中古マンションを買うと同時に専業作家になったんですが、しばらくしてお金の不安が出てきました。年収が300万円くらいの年もあれば、500万円くらいの年もあって、結構振れ幅が大きかったんです。 さらに追い