原爆で家族を失いながらもたくましく生きる少年の姿を描いた(以上、ほぼ棒読み)、中沢啓治の名作マンガ『はだしのゲン』。しかし、親に勧められてこの作品を読んだ小学生当時の僕にとって、『はだしのゲン』は、かーなーりエロかった、のです(笑)。中沢氏の、太く、どちらかといえば不器用な描線がナニゲに肉感的に見えたことに加え、降りかかる試練の数々に耐えるゲン一家のすがたに、どこかサドマゾ的な感覚をくすぐられもしたのです。その極めつけは、なんといっても、原爆投下直後の悲劇でした。ゲンの父が、弟が、そして姉が、倒壊した家の下敷きになって生きながら焼き殺されていく場面に、当時の僕は、のちに知ることになる絵金の無惨絵を前にした時の感覚を先取りするかのように、昏い昂奮を喚び起されていました。 ところで、『はだしのゲン』はアニメ映画化もされています。監督は、マンガ家でもある虫プロ出身の真崎守。僕はこのアニメ版のごく