囲碁のトップ棋士、張栩(ちょうう)九段(35)が、今月中にも生活の拠点をふるさとの台湾に移すことになった。 「納得できる碁が打てていない」と語り、帰郷によって気持ちを切り替えたいとしている。今後の対局は、その都度来日して続ける。日本囲碁界には中国、韓国、台湾など海外出身の棋士は多いが、第一線のまま日本を離れるのは初めてのケースという。妻の小林泉美六段(37)と子どもも一緒で、泉美六段は日本棋院に休場を届け出た。 張九段は10歳で来日、2009年には史上初の五冠となり、囲碁界の頂点に立った。現在も棋聖、名人、本因坊の3大棋戦のリーグに在籍し、活躍している。しかし13年に棋聖を失ってからは無冠が続き、成績も精彩を欠くようになっていた。もともと碁の完成度へのこだわりは強く、「恥ずかしい碁は見せられない。環境を変えることが、自分にも碁にもプラスになると思う」と語る。トップ棋士ならではのプライド