「海人と天皇」は、最近の著作かと思って読み始めたが、2002年に小学館から刊行された梅原猛著作集から文庫本として三分冊で出版されたものという。 一七条憲法の聖徳太子の時代から桓武天皇までの時代を、飛鳥浄御原令、大宝律令、養老律令、記紀、風土記などを引用しながら語っている。最近の考古学的発掘も踏まえて、梅原流の分析をしている。 安珍、清姫で有名な紀州道成寺にまつわる「道成寺宮子姫伝記」などの文献から、聖武天皇の母、宮子は海人の娘であったと推理する。天智天皇から天武、持統、元明、元正、文武、聖武、孝謙、淳仁、称徳と続く天皇とその皇后たち、天皇や皇后に近づいた、行基、玄纊、道鏡などの僧侶たちとの関係、その背後で天皇家をあやつる藤原氏一族の話など、面白く読んだ。 今まで、古代史関係はある程度読んできたが、高校時代以来、歴史の苦手な小生、いまだに、事件と人間のつながり、歴史に流れが今一つ線としてつな