1.フロイトの扱いが不当だ アドラー派にかぎらず、たいてい「新しい」ことを標榜する心理療法などは(アドラーは新しくないけど)、「精神分析は」「フロイトは」「トラウマ原因論は」などという主語を使って、「仮想敵」をでっち上げるのものだけど、この本でも同じような論述テクニックが使われている(テクニックというか詐術だけど)。 とうぜんながら、この本で「原因論」として棄却されている「フロイト的原因論」は、フロイト派の精神分析とはなんの関係もない。 フロイト派は明確にトラウマ説を否定しており、そのせいで「出生外傷」をとなえたオットー・ランクのような有能な精神分析家はフロイト派を破門されている。 フロイト自身は、ランクの説を、「けっこう、いいんじゃね?」って思ってたんだけど、周囲の反論が激しかったから、しぶしぶ破門せざるをえなかったらしいけれど。 ちなみにぼくは、フロイト、ラカンに次いで、オットー・ラン