韓国最高裁が30日、第2次大戦中の日本で強制労働させられたとする元徴用工の訴えを認め、日韓の戦後補償問題で初めて日本企業に対する賠償命令が確定した。国交正常化の根拠となる1965年の日韓請求権協定を根底から揺さぶる判断といえ、日本政府は猛反発。一方の韓国の文在寅(ムンジェイン)政権も、どう決着を図るか見通せていないとみられる。「未来志向」を目指す日韓はこれまでにない重い外交課題を抱えることになった。 【表】元徴用工を巡る訴訟の経緯 「政府は今回の判決が韓日関係に否定的な影響を及ぼさないよう、両国が知恵を集める必要性を日本側に伝えた」。歴史的な判決から数十分後、韓国外務省の報道官は記者会見で言葉を慎重に選んだ。日本による植民地支配を「日帝時代」と呼んで徹底的に批判してきた韓国政府だが、この日は夕方に李洛淵(イナギョン)首相名で「司法府の判断を尊重する」などとする短いコメントを出しただけだった