わが国の政府債務は未曾有の額に達していますが、その解釈をめぐっては未整理の部分も見られます。歳出・歳入の一体改革は、小泉内閣の総仕上げの改革として取り組まれています。どの程度の歳出抑制や増税が必要なのかという点は、最終的には政治が決着をつける問題です。しかしどの位の規模で歳出削減が可能か、増税が必要かという議論をめぐっては、必ずしも衆目が一致するような指標がありません。 ここでは、拙稿「政府債務の持続可能性を担保する今後の財政運営のあり方に関するシミュレーション分析―Broda and Weinstein論文の再検証―」(配付資料2), RIETI Discussion Paper Series 06-J-032(2006年4月)をもとに、その結果を紹介しながら議論したいと思います。 もっと根本的に、現在の財政状況は深刻なのか否かという点でも意見の違いがあります。これは、政府債務をグロスで