2010年8月に札幌ドームで起こったファウルボール直撃事故で、球団の賠償責任を認めた札幌高裁の判決が確定した。臨場感か安全性か。報道されていない事実もあることから、公開されている判決文に基づき、改めてこの事案を振り返ってみたい。 この日、なぜ女性は球場に来ていたのか 札幌ドームで行われた北海道日本ハムファイターズと埼玉西武ライオンズの公式戦。夫、長男(当時10歳)、長女(同7歳)、二男(同4歳)と球場に来ていた女性(同31歳)にライナー性のファウルボールが直撃した。 この日は、ファイターズがファミリー客を球場に呼び込むため、小学生の入場を無料とした招待試合だった。女性ら家族も、小学生の長男、長女の希望で観戦することとなった。もっとも、女性には野球に対する知識や関心がなく、これまで硬式球に触れたことはおろか、野球観戦の経験すらなかった。 当日は、長男、長女とともに球場に先着した夫が夫婦と二男