自殺予防への取り組み 自殺者が9年連続で年3万人を超え、大きな社会問題となるなか、仏教者による自殺予防の取り組みが広がっている。インターネットを使って相談に乗ったり、僧侶同士の活動をネットワーク化したりと、新しい動きも出てきた。 「もう、疲れてしまいました」。豊かな緑に囲まれた千葉県成田市の曹洞宗長寿院で、住職の篠原鋭一さん(62)は、切々と苦悩を打ち明ける女性と向き合っていた。 篠原さんは12年ほど前から、寺を開放して自殺を考える人たちの話を聞いている。この日は朝から5人が面会に訪れた。相談を受けている間も頻繁に携帯電話が鳴った。 「一度会話した人には、『いつでも連絡して』と言っています。この問題は待ったなしですから」と篠原さん。死を思い詰める人々の“駆け込み寺”と言われるゆえんだ。 人間関係に悩む若者、会社の倒産やリストラにあった中高年、家族と同居しながら孤独感にさいなまれる高齢者……