絶望したことがあるか、と問われて振り返ると、私はとりあえずそういう経験がなかった。紛争もクーデターもない、そこそこ安定した民主主義国家日本では、そうそう絶望するような不幸は訪れない。しかし、天災も事故も犯罪もいつこの身にふりかかるかわからないのも確かで、そういうとき、いったい自分はどのくらいの不幸や試練に耐えることができるのだろう。 ≪パルデン・ギャツォ≫ そういうことを考えてしまったのは最近、チベット問題をテーマにしたドキュメンタリー映画「雪の下の炎」を見たからだ。監督は1973年生まれの日本人女性。ニューヨーク在住で楽真琴(ささ・まこと)さんという。昨年のトライベッカ・フィルム・フェスティバルでプレミアム上映され好評を得たこの映画が4月11日から渋谷のミニシアター・アップリンク(http://www.uplink.co.jp/top.php)でも上映されることになり、東京に一時帰国して
自殺予防への取り組み 自殺者が9年連続で年3万人を超え、大きな社会問題となるなか、仏教者による自殺予防の取り組みが広がっている。インターネットを使って相談に乗ったり、僧侶同士の活動をネットワーク化したりと、新しい動きも出てきた。 「もう、疲れてしまいました」。豊かな緑に囲まれた千葉県成田市の曹洞宗長寿院で、住職の篠原鋭一さん(62)は、切々と苦悩を打ち明ける女性と向き合っていた。 篠原さんは12年ほど前から、寺を開放して自殺を考える人たちの話を聞いている。この日は朝から5人が面会に訪れた。相談を受けている間も頻繁に携帯電話が鳴った。 「一度会話した人には、『いつでも連絡して』と言っています。この問題は待ったなしですから」と篠原さん。死を思い詰める人々の“駆け込み寺”と言われるゆえんだ。 人間関係に悩む若者、会社の倒産やリストラにあった中高年、家族と同居しながら孤独感にさいなまれる高齢者……
奈良駅近くの商店街の一角(南都銀行の本店の真向かい)に、奈良町のお寺「十輪院」さんの別館『十輪院 仏教相談センター』があります。 こんな繁華街にこんな施設があるなんていうのも面白い試みですが、「平城遷都1300年祭」のキャラクター問題で話題になっている「なーむくん」グッズの販売もされているということで、ちょっとお邪魔してきました。 気軽にお邪魔しても大丈夫です! 奈良駅から奈良町方面へ向かう商店街の壁に、青地に「なーむくん」のイラストが描かれている看板を、目にしたことのある方も多いと思います。その看板を掲げているのが『十輪院 仏教相談センター』です。 繁華街の真ん中に、いきなり「仏教相談センター」というものがあっても、なかなか中に入りにくいかもしれませんね。私たちもお邪魔するのは初めてのことでしたが、決して何かの勧誘をされるワケではありませんし、いきなり長々とお説教を聞かされたりすることも
◇「自殺対策に取り組む僧侶の会」メンバー、さいたま・真福寺の加藤副住職 自殺を考え、悩む人たちに文通を通じて寄り添う僧侶がいる。さいたま市北区の浄土宗真福寺の副住職、加藤健一さん(31)。首都圏の宗派を超えた僧侶でつくる「自殺対策に取り組む僧侶の会」(藤沢克己代表、22人)の県内唯一のメンバーだ。僧侶になって3年。「苦しむ人の役に立てる僧侶になりたい」との思いがある。【山崎征克】 ◇全国から700通 加藤さんは大学で仏教を学び、会社員を経て05年に実家の真福寺に戻り、父の忠雄住職(63)を手伝い始めた。 数カ月後、葬儀会社の男性から「悲しみとどう向き合ったらよいかと、遺族から相談される」と聞かされ、がく然となった。自分は檀家からですら、悩みを打ち明けられたことがない。未熟さを痛感し、「僧侶と一般の人との間に垣根がある」とも考えた。 相談を受けられるだけの心の度量と技術を身につけるため、06
仏教各派の本山が多く存在する京都には、付随する僧侶養成機関として発足した由来を持つ学校が多い。私が現在勤務している禅宗系の私立大学もそのうちの一校だ。ただし、以前の私は、国際禅堂と称する外国人向けの坐禅会で指導を担当していた。 外国人である彼らが禅に惹かれる理由はさまざまである。日本文化を学ぶという目的で来日している留学生は、文化の一つとして禅をとらえている。空手や茶道を学んでいる外国人は、精神的なものを求めて坐禅に取り組む。キリスト教の信仰を深めるために、瞑想としての坐禅を研究するというケースだって珍しくない。 しかし、もっとも興味深かったのは、演劇関係の人たちが禅に魅力を感じる理由であった。俳優志望の若者とか、演出家、振付師などが一生懸命に坐禅に励むのである。その動機を尋ねた時に彼らが教えてくれたのが、「メソッド」という、イメージ・トレーニングのような演技訓練メニューだった。実はそれが
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