組み込み技術者向けTLS1.3基礎解説(後編):IoTでTLS1.3を活用すべき3つの理由:IoTセキュリティ基礎解説(2/3 ページ) 3.前方秘匿性の徹底 TLS1.3では、鍵共有に使用するアルゴリズムはDHE、ECDHEに限定されており、前編で紹介したDH、ECDHは非対応となっている。DHE、ECDHEの最後にある「E」は「Ephemeral(一時的な)」を意味しており、一定期間だけ有効な鍵ペアを使用したDH、ECDHを意味している。具体的には、セッション開始時に鍵共有を行う際、クライアントとサーバの双方で異なる鍵ペアを使用し、それらを使ってセッションで使用する共通鍵を導出する。通信が終わるときはこれらの鍵ペアとセッション鍵は廃棄し、次回セッションでは新しい鍵ペアを使用して鍵共有を行う。 こうすると、仮にある時点の鍵ペアの秘密鍵が漏えいしたとしても、過去のセッションで通信した暗号文