突然の葬儀 宮城県気仙沼市では臨時に造られた墓地にいたいが土葬された(3月26日) Carlos Barria-Reuters つい数週間前まで生徒の元気な声がこだましていた岩手県陸前高田市の米崎中学校体育館に、次々と被災者の遺体が運び込まれる。安置所となった体育館に並べられた遺体の多くは、死後硬直のせいで亡くなったそのときの姿のままだ。 小さな軽トラックの荷台に30体ほどの遺体が積み上げられ、運ばれてきたこともあった。逃げ込んだ避難所が津波にのみ込まれ、折り重なるようにして亡くなっていたという。 ここは本当に日本なのか──毛布にくるまれた遺体が次々と軽トラックから降ろされ、体育館の床に並べられる様子を目の当たりにして、千葉大学大学院医学研究院で法医学を専門にする歯科医師の斎藤久子は、心の中でつぶやいた。 東日本を襲った大津波による被害の全容がまだ判然としない3月12日、歯科法医学の専門家