田邉寛子(たなべ ひろこ) アプル総合計画事務所 先日、東京大学でスペインのカルトラバの作品についての勉強会がありました。建築・土木の景観設計者をめざす私にとっては、大変感銘をうけた会でした。そこで、本誌の編集子と出会ったのが縁で、私の曾祖父である田邉朔郎について一文を書いてみないかとお誘いを受けました。 お酒の席でもありましたので二つ返事で快諾しましたが、それから月日はながれ、そんな約束も記憶のなかから消えかかった十月中旬、依頼の封書が届きました。事が現実となったことで思ったことが、「しまった、快諾するんじゃなかった」ということでした。だって、文章が……。しかし田邉朔郎没後五〇年をすぎたにもかかわらず、朔郎がお世話になった土木分野の広報誌に、子孫が文章を掲載させていただける光栄を逃すわけにはまいりません。頭にはちまきをしてパソコンに向かいました。 はて、なにを書こう? 琵琶湖疏水は