(以下の論では、原作および映画『虐殺器官』の結末に触れています。 また、原作ファンの視点から、映画に対してそこそこ辛辣な意見を述べていますが、 一つの意見としてご容赦いただければと思います。) 映画『虐殺器官』を観た。 ぶっちゃけた話、Project Itohの題を冠した映画三作品の中で、 「映画として」一番面白いのはおそらくこれだろうと思う。 えげつないゴア描写を含むアクションシーン、人口筋肉を使ったメカの数々など、 見所がそれなりにあるといえばあるからだ。 だが個人的には、原作ファンとしては一番言いたいことの多い作品であった。 なによりも、その精神性において看過し難い点があった。 最初に違和感を覚えたのは公開数日前のことである。 映画をレビューする記事の中に、「原作のエピローグにあたる部分は映画にはありません」 という追記の一文がさらりと書いてあり、ネット上の伊藤計劃ファンの間でざわめ