新型コロナウイルス対策において、台湾で開発された「マスクアプリ」は国際社会の注目を集めた。この迅速な対応を可能にしたのが、地域の課題をITを通じて解決するエンジニア、「シビックハッカー」たちだ。近年、彼らの存在が台湾の政治のあり方を大きく変えている。 一つの世界は、いつも別の世界にその発端を生じる。それは2014年3月のことだった。 「ひまわり学生運動」として知られるその出来事は、抗議者である台湾国民と台湾政府の間に突如として起こった、3週間の膠着状態を指す。台湾と中国の親密化を趣旨とする貿易協定をめぐって、抗議者たちが立法院を占拠したのだ。 彼らは最終的に立法院から撤退した。しかし、これは台湾政治の方向性が変わり、新たな時代が始まった瞬間となった。この運動は、貿易の問題にも一定の成果をもたらしたが、それよりもずっと大きな疑問を社会に投げかけたからだ。 それは、「どうすれば台湾政府は国民の