★1.狐が、友人・知人などに化ける。 『今昔物語集』巻27-29 源雅通中将の家に同じ姿形の乳母2人が現れ、中に幼児を置き、左右の手足を取って引き合う。一方は狐であろうと考えた中将が、刀をひらめかして走りかかると、1人の乳母はかき消すように失せた。 『遠野物語』(柳田国男)94 菊蔵という男が、姉の家で振る舞われた残りの餅を懐にして、帰る途中で友達の藤七に出会う。藤七が「相撲を取ろう」と誘い、2人はそこで相撲を取る。藤七はいつになく弱く、菊蔵は3度とも勝つが、気がつくと餅がなくなっている。狐が藤七に化けて餅を取ったのだった。 『義経千本桜』「道行初音旅」 源義経が、朝廷から下賜された重宝初音の鼓を静御前に預けて別れる。鼓の皮となった狐の子が、家臣佐藤忠信に化けて静御前につき従い、守護する。 *狐が妻に化ける→〔二人妻〕8aの『今昔物語集』巻27-39。 *狐が伯父に化ける→〔変身〕8bの『