近所のドラッグストアの売り子で少し気になる印象を与える20歳くらいの女性がいた。天気のことや街のことを話しかけると、はずしてはいないが曖昧な答えが返る。特別な大理石に優しくノミを当てていくような感じだった。天使を彫るならそうするだろう。彼女が店から消えたことに気がついたのは、夏の終わりだった。休暇を取ったのだろうと思ったが、二か月しても戻らなかった。新しい店員にきいてみたが、知らないというのだった。街路に枯葉が舞うころ、多分もう彼女を見かけることも話しかけることもないのではないかとさみしく思った。 今年はKFFサンタクロース協会からサンタクロースに扮する依頼はなかった。会を束ねているマリーからも連絡はなかった。このままクリスマスには彼女からグリーティングカードを受け取るだけだろうと思っていたが、ふと気になって協会のサイトにログインし、会報を見る気になった。年金運用の話がある。関心はない。そ