1976年に「季刊論叢 日本文化」第一期の6冊目として角川書店から刊行されたもの*1。千代田区立千代田図書館の江戸・東京コーナーで見かけて速攻で借りた。 江戸の成り立ちについては鈴木理生氏の一連の著作がとても面白いのだが、本書は鈴木氏とはあるところで見解を異にしながらも、江戸開府をラディカルに描いている。吟味した史料を元に描かれる徳川家康の後半正記は歴史物語として読んでも面白かったし、やはり何より天正十八年家康の関東入府にピンポイントで焦点をあてているのも嬉しい。 家康入国―なぜ江戸を選んだのか (角川選書) 作者: 水江漣子出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1992/05メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る なぜ関東か まず、家康の関東入りについては、小田原攻めのついでに家康を連れ小便にさそった秀吉が、あの城が落ちたら向こうをあげるなんて甘言で家康の地盤である三河