東京-大阪などの都市間を結ぶ高速バスのうち、新規参入の「ツアーバス」が爆発的に増えている。柔軟な価格設定やインターネットによる宣伝効果が急成長の理由だが、運行台数が増えるにつれ深刻化したのが、ターミナル駅周辺でのバスの路上駐停車。公道上に停留所を設置できないためだ。国土交通省は制度の見直しに乗り出した。 (比護正史) 高速ツアーバスが集中する新宿駅。午後十時すぎ、西口のビル前の歩道に約三十人の若者が関西方面へ向かうバスを待っていた。案内板すらない。ジャンパー姿のツアー企画会社スタッフが乗客の点呼を終え、携帯電話で連絡すると、一台のバスが到着した。 「二号車にお乗りの方は乗車を」。スタッフの呼び掛けで乗客は横断歩道の脇から車道を数メートル歩いて乗り込む。バスは十五分ほどで出発した。駅前では、こうした光景が深夜まで繰り返された。 高速バスといえば、かつては「乗り合いバス(路線バス)」だけだった