◆施設卒業の後で…孤立 社会を構成する最小単位は「家族」だ。子供は生まれ落ちたその日から母親や父親に接することで少しずつ社会性を身につけていく。生活保護制度が国が保障する「最後のセーフティーネット」であれば、生まれたばかりの子供にとって家族は「最初のセーフティーネット」といえるかもしれない。 しかし、さまざまな理由で家族を持たない子供たちも存在する。そんな境遇にある子供たちの多くは児童養護施設で育つ。 児童福祉法に基づいて定められた児童養護施設の職員配置の最低基準は子供6人に対し職員1人。子供12人に両親がいるようなものだ。しかも、施設の職員の多くは子育て経験も少ない20、30歳代の若者だ。到底十分とはいえないこの施設でさえ、20歳までには自立して出ていかなければならない。 児童養護施設は全国で約550カ所。約3万人の子供たちが生活している。こうした子供たちが生きていくにはさまざまな困難が