【山形新聞のコラム】 …きのうスタートしたNHKの大河ドラマ「天地人」は本紙朝刊に2004年4月から460回にわたり連載された小説が原作。新潟育ちの作者火坂雅志さんが作品の中で大切にしたのは「雪国の心」であった。ドラマ作りに口は出さない。が、これだけは絶対に忘れないでと願った心だ。 ▼▽「暮らしを重苦しく閉ざしていた雪が解け、山の木々が芽吹き、花が咲き、すべての生命が一気によみがえる。この喜びは雪国に生まれ育った人間にしか分からないだろう」。連載を終えた火坂さんは「雪国の心」を知る武将として、上杉謙信、直江兼続、真田幸村に惚(ほ)れた思いを綴(つづ)った。 ▼▽3人の師弟は、粘り強く、どんな苦難にも逃げず、投げ出すことなく、そして耐え抜いた先には必ず春の喜びがあることを信じ、戦乱の世をたくましく生きた。兼続は民衆と一緒になって財政再建に取り組んだ。兼続を支えた雪国の心、「義」と「愛」は