『さらば雑司ヶ谷』や『民宿雪国』などの小説で知られる作家・樋口毅宏氏が書いた『タモリ論』(新潮新書)が話題だ。発売1週間で6万部を超えるベストセラーとなっている。 なぜ敢えてタモリについて論じようと思ったのか。樋口氏が語った。 * * * 1971年生まれの僕より若い世代の多くは、タモリや『笑っていいとも!』について、「どこが面白いのかさっぱりわからない」といいます。 確かに、僕もかつて、「テレフォンショッキング」というコーナーの冒頭で、タモリがスタジオを観覧している客に何か尋ねると、客がそのたび声を揃えて「そうですね!」というやり取りを、いかにも馴れ合いで不毛な予定調和だとバカにしていました。 一方で、40代を過ぎた上の世代のタモリ好きは、イグアナの物真似や4か国語麻雀といったアングラ芸を挙げて、「『いいとも!』以前のタモリはすごかった」と口を揃えます。 僕は『いいとも!』のタモリを論ず