昔、つきあいのあったベテランの60代カメラマンが面白いことを言っていた。いろんなロケクルーと仕事をしてきたが、ディレクターの人間性を見る上で一番分かりやすいのは、「車輌さん(つまりロケバスの運転手)」への態度なのだという。 かつては局付きの職員の車輌さんがいた時代もあったが、もちろん今はそういうことはなく、専門業者への発注である。ほとんどの場合、一度仕事すれば二度とそのドライバーと会うことはない。単に目的地まで運んでもらえばいいのであって、ロケクルーの中でその後の利害関係というのが最も無い人間だ。当たり前だが、運転手は態度が悪ければすぐにクレームをつけられ下ろされてしまうため、若造のディレクターに対しても基本的に低姿勢である。 それをいいことに、ずいぶんこうした運転手をぞんさいに扱うディレクターがいる。ロケスタッフの中では、最も実際の仕事に絡まないため、アゴで使うような態度になる。年配の人