菅直人政権の置きみやげに「減原発」政策がある。「原発推進」の構造に、長年組み込まれてきた自民党には難しかっただろう選択だ。 だからこそ、新政権がこの路線をどう引き継ぐかに注目してきた。代表選でははっきりしなかった野田佳彦首相だが、就任後の記者会見で「原発の新設は現実的に困難」「寿命がきたものは廃炉にする」との姿勢を明確にした。 「減原発」の路線を踏襲するものとして評価したい。 ただし、あいまいな点は残されている。たとえば、原発の寿命は何を指標とするのか。日本には法的な位置づけがなく、国が認めれば40年、50年と延命できる。 しかし、福島第1原発の事故の背景に老朽化があった恐れは否めない。運転年数以外にも、原発のリスクにかかわる指標はいくつもある。それらを明確にし、減原発の具体的工程を示してほしい。 定期検査中の原発については「安全性を確保し、地元の理解を前提に、再稼働させる」と述べている。