JINSEI STORIES 滞仏日記「戦争に慣れてきたこの世界で、起きているもう一つのリアリティ」 Posted on 2022/05/21 辻 仁成 作家 パリ 某月某日、ウクライナの戦争がはじまって2か月以上が過ぎた。 ロシアが侵攻した直後はいつ核戦争になるのかという不安や悲惨な戦地からの報道による恐ろしさによって、世界中の人々が暗くなっていた。 もちろん、いまだに出口が見えず、誰もが戦争の終結を願っているわけだけれど、戦況が膠着していることもあってか、なんとなく世の中が戦争に慣れだしているような空気感を感じる。 コロナ禍もまだなくなってはいないというのに、確かに共存のスタイルは整いつつあるにしても、もう誰もぼくの周りでは感染者数を話題にすることもなくなった。 慣れてきたのだ。いろいろなことに。 NHKの有馬嘉男さんがMCを務めたNHKのウクライナからの報道番組を見る機会があった。
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