日本呼吸器学会が出しているガイドラインがある。手元には最新の「成人肺炎診療ガイドライン2017」がないので、古いものからの引用だが、院内肺炎の危険因子として、次のようなものが挙げられている。 ・誤嚥をきたしやすい状態: 脳血管障害、多量の鎮静剤投与、胸腹部の手術 ・慢性呼吸器疾患: COPD、間質性肺炎、気管支喘息、びまん性汎細気管支炎、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核、じん肺 ・心不全、肺水腫 ・糖尿病、腎不全、慢性肝疾患 ・H2ブロッカー、制酸剤投与 ・長期の抗菌薬投与 ・65歳以上の高齢者 ・悪性腫瘍 こうした条件を満たす老人は、病院にいるともかぎらない。つまりは「院内肺炎」というが、個人的には自宅で要介護状態の老人にもこうしたリスクを抱えた一団がいるわけだ。イメージがわかないと思うので、我々がよく救急で診るタイプの患者をお示ししよう。 ● 89歳、男性。 脳梗塞後遺症で寝たきり。