私の、刑事(民事事件もやっていますが刑事が多い)公判での姿を見て、公判を得意としているような印象を受ける方もいるようですが、法曹生活を送るようになった当初は、不得手という意識があって、公判へ行くのが嫌で気が進まなかったものでした。何をどのようにすれば効果的な立証になるか、ということが実感できず、被告人や弁護人側の反証に対して、検事として確実に立証を積み上げて行く、ということになかなか自信が持てず、特に否認事件では、公判へ行くのが億劫であったことが思い出されます。 それが、徐々に変わってきたのは、検事になって4年目で、名古屋地検へ異動になり、1年間、公判部に所属して、来る日も来る日も公判に立ち会うようになってからでした。今でもそれほど変わらないと思いますが、平成5年、6年当時、名古屋地検公判部の検事が担当する事件は多く、私の場合、多い時で同時に120件から130件くらいの事件を担当していた記