地下鉄サリン事件の実行犯5人のうちで唯一、無期懲役判決となった林郁夫受刑者。1998年5月、その判決を言い渡したのが当時の東京地裁裁判長、山室惠氏。後の実行犯の裁判でも、極刑が不当である理由として、自身が言い渡した判決を引き合いに出されることがあったという。地下鉄サリンから20年。あの時、なぜ死刑を言い渡さなかったのか。その問いを山室氏にぶつけた。(iRONNA編集部 本江希望) 林郁夫の1審の裁判長を引き受けた時は、当然死刑だと思っていました。地下鉄千代田線にサリンを散布した実行犯でしたから。1997年の12月10日、林被告が証言台の下に身を潜り込ませて大泣きした有名な「慟哭の法廷」の時も、泣いたってしょうがないだろうと思いました。泣こうが騒ごうがわめこうが、彼がやったことを考えたら死刑だと、冷めた目で見ていましたね。 地下鉄サリン事件など6事件で殺人などの罪に問われたオウム真理教元幹部