第8回では「災害対策」を主題として、データ保護の重要性を説き、実際の手法について技術論を中心に解説した。今回は抜本的なところから企業の災害対策を論じる。 有事にどのように事業を継続するかという考え方を「事業継続(BC: Business Continuity)」と呼ぶ。事業継続で最も大きな概念は「BCM(事業継続管理: Business Continuity Management)」である。有事において、何を残して何を諦めるのか、事前にどんな投資をするのかを決定する戦略と言ってよい。 BCMの主要な成果物は、事業の復旧と継続に関する手続きを示した「BCP(Business Continuity Plan=事業継続計画)」である。BCPを作成しておくことで、より早い復旧とより高い操業度を実現できる。その効果について、内閣府が発行している「事業継続ガイドライン第一版」に復旧曲線が紹介されている