金沢21世紀美術館で開催した「3.11以後の建築」展(ゲスト・キュレーター:五十嵐太郎、山崎亮)が昨年11月より水戸芸術館に巡回した。水戸芸術館は、これまで何度も展覧会を見に訪れてきた美術館だが、私も担当者として初めて展示する側として使ったことで、多くの発見があった。金沢21世紀美術館は、設計にあたり、水戸芸術館から大きな影響を受けている。そのことをあらためて確認することができた。 水戸芸術館は、日本の美術館でよく採用されてきた可動壁を使っていない。可動壁とは、天井のレールからつり下げた壁を移動させることによって、空間の仕切り方を変えることのできるシステムである。安いコストで空間を変えられる反面、がっしりとした天井のレールの構造が目立ち、壁も薄くなってしまう。それに対して、水戸芸術館は、あらかじめ多様なサイズの展示室を用意することによってさまざまな展示に対応できるようにしている。水戸芸術館