ワタリウム美術館(東京・外苑前)でスタートした展覧会「ルイス・バラガン邸をたずねる」(2010年1月24日まで)は、いわゆる建築展とはずいぶん様相が違っている。 模型もなければ、図面もない(ドリーイングやスケッチはある)。代わりに空間を構成しているのは、メキシコ・シティーのバラガン邸から運び込まれた、貴重な、オリジナルの家具や骨董品の数々。 それらがあまりに美術館の室内に溶け込んでいるものだから、「作品を観て学ぶ」つもりだった当初は戸惑ったものの、映像を見るにつれしだいに納得。館内すべてがバラガン邸となっているのだ。 映像を見たり、バラガンの言葉を読んだりしながら、空間にただ佇んでみる。するといつしか身体のほうが空間を感じはじめる、そんな展覧会だ。 また、多木浩二氏や伊東豊雄氏のシンポジウムをはじめ、「15人の建築家と15人の表現者による対話実験」「建築の家をたずねるツアー」など、充実した