サッカー引退後、世界を旅してきた中田英寿氏。行く先々で日本の魅力に気づかされ、やがて彼の関心は日本国内へと向かう。6年半の歳月をかけ、沖縄から北海道まで日本各地をくまなく旅して回った。その過程で出会った食、日本酒、伝統工芸、それに携わる職人たち。中田の目に、日本の文化はどのように映ったのだろうか。「ROOTS」副編集長 加藤未央氏が聞いた。 プロローグ 2015年12月中旬、私はミシュランで8年連続で星を獲得している西麻布の日本料理屋にいた。元サッカー日本代表をインタビューする場所としては不思議な場所ではあるが、中田英寿氏のインタビューをするために用意してもらった場所だった。 まさに、今の彼を表している場所だと感じた。 私が中田さんと初めて会ったのは、2010年のサッカーワールドカップ南アフリカ大会の期間中、中田さんが原宿に出店していたnakata.net Cafeでのイベントのときだった