今までに一体何十メートル、髪の毛を、爪を、切っては捨ててきただろうか。月に一度の血液も、涙も鼻水も何十リットル返還したかわからん。 無意識のうちに連なっていく刹那は、流れ星のように消えていくことを望んでいる。何十億人の生死さえも、その人の自伝を読まない限り、大河の一滴なのだ。 私はラッキーなことに無意識を意識的に収集して、書き留めることを生業としている。消えていくはずだった時を切り取って、剥製みたいに永遠のものにする。完成したあと忘れてしまった歌詞はファンの方が覚えていることがよくあって驚く。詞になり、音楽になった言葉は私の元を飛び出して、知らない誰かの生活にお邪魔している。私が学生時代そうしてきたように。 四国や東京の六畳間で作った独りよがりな歌詞が、今、誰かのこもりうたになっているかもしれないと思うと、高く飛んでみて良かった、報われたんだという気持ちになる。 書かない皆はどうやって自分