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ブックマーク / sheishere.jp (3)

  • 母の人生は私の人生だったのだろうか/楠田ひかり

    「なあんにも苦労してない綺麗な手」 一人暮らしの私の部屋に訪れた母は、私が風呂にはいっているあいだに洗い物をすべて片づけてそう言った。 母の人生は私のための人生だった、なんて考えるのはおこがましいけれどそう思う。私が8歳だったある夜、父の暴力に耐えかねていますぐ私を連れて逃げようとする母に私は、この家から出ていくのが嫌だから、出ていかんといてと泣いて頼んだ。母は泣き崩れ、結局その夜は出ていかなかった。それから私が成人するまで出ていかなかった。私は18歳の春、大学進学で母よりも先に家を出ていった。あけるとシャラシャラ音がする、ぼやけた厚いガラスの扉の家だった。 責任感が強く、仕事も家事も育児もすべて一人でやることを当たり前だと思っていた母。想像を絶する母のつよさによってもたらされたものを当然のように享受してきたことに、私は一人暮らしをしてはじめて気がついた。 「お母さんピアスあけたかったんや

    母の人生は私の人生だったのだろうか/楠田ひかり
  • 刹那という惑星/高橋久美子

    今までに一体何十メートル、髪の毛を、爪を、切っては捨ててきただろうか。月に一度の血液も、涙も鼻水も何十リットル返還したかわからん。 無意識のうちに連なっていく刹那は、流れ星のように消えていくことを望んでいる。何十億人の生死さえも、その人の自伝を読まない限り、大河の一滴なのだ。 私はラッキーなことに無意識を意識的に収集して、書き留めることを生業としている。消えていくはずだった時を切り取って、剥製みたいに永遠のものにする。完成したあと忘れてしまった歌詞はファンの方が覚えていることがよくあって驚く。詞になり、音楽になった言葉は私の元を飛び出して、知らない誰かの生活にお邪魔している。私が学生時代そうしてきたように。 四国や東京の六畳間で作った独りよがりな歌詞が、今、誰かのこもりうたになっているかもしれないと思うと、高く飛んでみて良かった、報われたんだという気持ちになる。 書かない皆はどうやって自分

    刹那という惑星/高橋久美子
    hiroyukiokano
    hiroyukiokano 2018/09/23
    「いつか死んだとき、積み重ねた年輪は静かに燃えてなくなるのだろう。それで終わりかもしれないが、その中の一つか二つは誰かが思い出してくれたりするんじゃないか。あなたとの思い出を私が覚えているように」
  • 川上未映子さんと21世紀の結婚や出産、私たちの生き方の話をした

    2017年、いま日に暮らしている女性のなかで「女性について」語ろうとするとき、まっ先に名前があがるのはきっとこの人、作家・川上未映子さんでしょう。『乳と卵』(2008年)で『芥川賞』を受賞したのち、『きみは赤ちゃん』(2014年)では定型化した出産の描写をたった一度きりの個人の体験として描き直し、この9月に刊行される『早稲田文学増刊 女性号』では、82名の書き手が全員女性となる一冊の責任編集を務めるなど、女性について書き、語る第一人者です。そんな川上さんは、私以上でも、私以下でもない「私」であるために、社会と戦いながらも、過去も現在も未来も含めた人間をしっかりと見て、愛することができる人。そんな川上さんに、She isの最初のインタビューをお願いしたいと考えました。 「女」や「男」、「結婚」や「出産」……どういう選択をしたとしても、これで大丈夫なんだろうかと不安になったり、何かの輪から疎

    川上未映子さんと21世紀の結婚や出産、私たちの生き方の話をした
    hiroyukiokano
    hiroyukiokano 2017/10/16
    「好きなんですよ。好きなものを好きって言えるのが大事です。そう言える環境も関係も含めてね。私の人生は私が決める、でいいんです。それを阻むものがあるとしたら、少しずつ変えていきましょう」
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