古本屋が亡くなったとき、少なくはない本が、その手元に遺される。 生前、その人が売れると見込んで買い取り、あるいは市場で仕入れ、値段をつけて店の棚に差したり、即売会に並べたり、インターネット通販に登録した本と、そこまで作業が至らなかった本だ。往々にして、後者は膨大な量になる。 その本の山を前に途方に暮れる家族のために、生前親しかった古本屋が中心となって、大量の本を運び、市場に出品するのが、この業界の慣しになっている。 高齢化が進む古本屋業界、年に何回かは「あの古本屋さんの倉庫から」という出品が並ぶ市場がある。 そんな日の市場は、普段とはどこか違う雰囲気がある。 個人的に仲が良かったわけでなくても、その古本屋さんがどんな本を扱い、得意とし、どんな商売をしていたかを、市場の仲間はみんな知っている。そのうえで、その在庫を一目見ようと、いつも以上に人が集まってくる。 その本たちを前に、思い出話も始ま
![2月11日(火) 弔いのかたち - 日日古本屋](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/cc86c1ec63546382bf992985e46d53fc9f2973a5/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn-ak.f.st-hatena.com%2Fimages%2Ffotolife%2Ft%2Ftsurezuresha-diary%2F20200213%2F20200213005347.jpg)