2011年01月07日11:30 カテゴリ書評/画評/品評Value 2.0 職がなければ遊べばいいのに - 書評 - コンピュータが仕事を奪う コンピュータが仕事を奪う 新井紀子 この話題に正面から取り組んだ本は意外と少ない。はじめから日本語で書かれたものともなると、なおのこと。その意味において本書は仕事を必要とする人全てが読んでおくべき一冊である。 しかしこの問題は「正面から取り組む」という姿勢そのものが間違いだという思いを年々強くしている。本entryはよって、本書に何が書かれているかより何が書かれていないかを主に書くことになる。 本書「コンピュータが仕事を奪う」は、コンピューターと知的労働の関係を、教育者らしく真面目に、数学者らしく必要十分に考察した一冊。だからこそ、この問題に関する「正解」を提示するのに失敗している。 オビより 人間の仕事を楽にするはずのコンピュータは、爆発的な処
宋文洲さんと言えば、中国から北海道大学に国費留学。その後、ソフトブレーンという会社を立ち上げ、上場まで導いたという異色の経営者です。直接お会いしたことはありませんが、ツイッターでは何回かコミュニケーションさせていただいたことがあります。物事の本質をズバリと言い当てる。そんな方ではないかと勝手に思い込んでいます。 その宋さんが書いた最新刊『「きれいごと」を言い合っても世の中は変わらない』を読みました。語り口は軽快ですが、読めば読むほど、考え込んでしまう、今までに読んだことのない感覚の本でした。 宋さんが、日本の政治家や経営者から話を聞きたいと引っ張りだこの理由は、この本を読むと良くわかります。 日本人が持っているモノの見方、考え方とは違った視点を提供してくれるのです。かといって、完全な外国人の視点でもない。そこに、他の人には無い独自のモノの見方が存在します。それが、他の人には提供できない宋さ
最近は、新刊『20代で人生の年収は9割決まる』に絡め、いろんなところで「基本動作」の重要性を説いています。 ※参考:『20代で人生の年収は9割決まる』 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4479793070/ 心構えやノウハウを説いても、結局それが行動に反映されなければ、教育の意味がない。 であれば、最初から行動を見て、その行動にコメントした方が、効果的です。 先日タイに行ったときも、現地のカリスマ研修講師の話を聞きましたが、文化的背景が異なる国で心を伝えるには、実際に行動で見せるのが一番のようです。 これまで書籍の世界では、こういった「基本動作」はややレベルが低いものとして扱われてきましたが、従業員の多様化が進めば進むほど、重要になってくるものと思われます。 そういう意味でおすすめなのが、本日ご紹介する一冊。 タイトルは『「初対面の3分」で
怒る企画術! (ベスト新書 265)/吉田 正樹 ¥780 Amazon.co.jp 本書の著者は、「夢で逢えたら」「笑う犬の生活」「トリビアの泉」 「爆笑レッドカーペット」などを企画、演出、プロデュースした方です。 最近、企画を考える機会が増えているので、 テレビでコンテンツを企画されてきた方から、 その企画術を学ぼうと思って読んでみました。 結果、非常に共感できる内容です。 私が普段、メンバーに話していることが、 より整理されて文字になっていたのですごく読み易かったですw ------------------------------------------------------------- 「誰かを幸せにするためにアイデアを出す」と言う人もいます。 しかし僕は、自分以外の人たちを幸せにするというような抽象的な 目標では、自分が燃えられない。いったん個人的な怒りとか、 不安とか、不満
宇野重規『〈私〉時代のデモクラシー』を興味深く読んだので、忘れないうちに感想を書いておきたい。 宇野はこの本で、19世紀フランスの政治思想家アレクシ・ド・トクヴィル(『アメリカのデモクラシー』)を導き手とし、私たちにはあまり馴染みのない現代ヨーロッパの政治哲学者・社会学者の議論をひもときながら、だれもが「自分らしく」生きることを追及する「〈私〉時代」のデモクラシーの可能性を論じている(以下は私なりの解釈で、宇野の本の正確な要約ではない)。 18世紀の産業革命によって経済(市場)は爆発的に拡大し、ひとびとは身分制(階層社会)の桎梏から解放され、人類史上はじめて「自由」と「平等」を理想として掲げることが可能になった。近代化とは、王制(神権政治)に対する社会改革=革命運動として始まった。 ところが第二次世界大戦後、社会がより豊かになると、ひとびとの関心は〈社会〉から〈私〉へと向かいはじめる。これ
みなさんご存知のように、古代ギリシアは競争の社会でした。 ホメロスの『イリアス』にもあるように、人々は自らの技を競い、その上で、自らを高めていったわけです。 ※参考:『イリアス』 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4003210212/ その結果、古代ギリシアでは、優れた彫刻や壺絵、建築物など、優れた文化が生まれ、オリンピックのような行事も生まれました。 われわれが今なお、オリンピック競技を見て感動するのは、競争を通じ、人間が自らの限界に挑む、その真摯な努力ゆえでしょう。 しかしながら、現在の日本において、この「競争」は軽んじられるばかりか、悪者扱いされる傾向があります。 本日の一冊は、この「競争」を真正面から取り上げ、新しい「市場主義」を宣言した一冊。 一橋大学大学院経済学研究科教授の齊藤誠さんが、ここ20年の日本経済を概観し、日本経済が抱
『コトラーのマーケティング3.0』フィリップ・コトラー、ヘルマワン・カルタジャヤ、イワン・セティアワン・著 vol.2377 本日の一冊は、フィリップ・コトラーと、インドネシアのコンサルティング会社、マークプラス社の2人が書いた、マーケティングの新コンセプト。 製品中心のマーケティングを1.0、消費者志向のマーケティングを2.0と定義し、より大きなビジョンやミッションを持ち、グローバルな社会貢献を目指すマーケティング3.0を提唱しています。 正直、最初この本をちらっと読んだ時には、「要はまっとうな経営のあり方を『マーケティング3.0』と言い換えただけのもの」という印象が拭えなかったのですが、自著の発売を通じ、SNSで読者とやり取りするなかで、本書の言わんとすることが、わかってきました。 つまり、これからのマーケティングは、消費者や取引先、従業員との相互作用のなかからしか生まれてこないという
英治出版さんが、最近素晴らしい本を連発しています。 昨日、日経新聞の広告で私の推薦文も掲載された、「イシューからはじめよ」に続いて、今週読んだのが、NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんが書いた「「社会を変える」お金の使い方」です。 この本の素晴らしいところ。それは、本全体から駒崎さんの静かなパッションがにじみ出ていることです。寄付という行為によって、誰でも世の中を(もしかしたら、ほんの少しかもしれないけど)変えていくことができる。その行動を自分と一緒にはじめませんか、という著者の想いにグイグイ引き込まれていくのです。でも、それがとても自然で、押し付けがましくなく、読んでいて気持ちが良いのです。 日本人は、成人の年間一人当たり寄付額が約2500円。一方で、アメリカ人は約13万円です。これは、税制の問題もあるかもしれませんが、それ以前に寄付という行為が理解されていない、寄付という行動に
ビジネス書の世界では、企業名で売れる本というものが存在します。 なかでも価値が高いのは、マッキンゼーやグーグル、P&G、リクルート、トヨタなど。 本日はそのなかの一つ、P&Gのノウハウを取り上げた一冊です。 P&Gは現在、世界全体で売り上げ800億ドル(1ドル100円なら8兆円)を誇る、世界最大級の企業。 世界80カ国以上に事業拠点を持ち、42億人に製品が使われているという、超巨大グローバル企業なのです。 そこで気になるのは、そんなに巨大な組織を、どうやってコントロールしているのか、という視点。 本書では、その気になるP&Gのマネジメントやコミュニケーションについて、元P&Gジャパン広報渉外担当部長の高田誠さんが、内側を教えてくれます。 「3つにまとめる」コミュニケーションや「イシューシート」、消費者とのコミュニケーションを徹底するしくみ、全世界13万人の社員に目的を浸透させるマネジメント
プロフェッショナルマネジャー/ハロルド・ジェニーン ¥1,400 Amazon.co.jp 少しづつ年末年始に読んだ本を紹介していきたいと思います。 「これが私の最高の教科書だ」 柳井正 こちらは、帯に書かれていた上記メッセージで衝動買いした一冊。 結論、非常に共感できる内容でした。 経営に関する本で教科書に一冊を選ぶなら、私もこれを選びます。 ------------------------------------------------------------------- ≪三行の経営論≫ 本を読む時は、はじめから終わりへと読む。 ビジネスの経営はそれとは逆だ。 終わりからはじめて、そこへ到達するためにできる限りのことをするのだ。 ------------------------------------------------------------------- テクニック的な話で
今日は久しぶりに経営者の方に読んでもらいたい本の紹介です。10年以上前にBCGの同僚でイギリス人のDavid Deanという友人から読めと言われてもらった本ですが、英語版のために読まずにいたら、幸いなことに2001年になって日本語版が出ました。早速読んでみましたが、とんでもない話でした。紹介するのが10年も経ってしまっているのはご愛敬です。 中身はアルフレッド・ランシングという人の書いた南極大陸探検隊を襲った悲劇と奇跡の生還について書かれたノンフィクションです。しかし、全編アーネスト・シャクルトンという一人の男のリーダーシップについて書かれた本と言っても過言ではありません。 とにかく絶望的な状況の中でリーダーとはどうあるべきかを教えてくれるストーリーです。 一言で言えば、そうした状況でリーダーに求められるものは、教科書に書かれているような格好良いあるいはきれい事のリーダーシップではなく、「
マーケティング理論のThe教科書of教科書、有斐閣アルマ『マーケティング戦略〈第6版〉』をテキストとした全14回の理論学習プログラムの提供を開始します(無料です!!) ついに夢のひとつが叶いました! 何をするのか掲題の通り、マーケティング理論のThe教科書of教科書『マーケティング戦略〈第6版〉』(有斐閣アルマ)をテキストとした全14回の理論学習プログラムの提供を開始します。しかもMARPSだから無料! 講師は不肖ワタクシ池田が務めます。 本書は、実務家マーケターや大学生が体系的なマーケティング理論を学ぶ一冊として高い評判と信頼を獲得してきたまさに定番中の定番の書です(初版は1996年4月)。 MARPSはこのたび、本書の出版元である
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本日の一冊は、カネなし、コネなし、実績なしの状態から情熱だけで楽天・三木谷社長を口説き落とし、楽天イーグルス創業メンバーとなった著者が、夢を叶える「突破力」を論じた一冊。 約230ページ。熱いメッセージの連続で、読み終わる頃には、土井もすっかり熱くなってしまいました。 ―大学卒業後、モルガン・スタンレー証券でM&Aの仕事に携わり、そこから転身してスポーツ業界へ。 無給でフットサル場の受付をしながら、悶々としていた著者に、ある日、チャンスが訪れます。 「楽天、プロ野球界への新規参入」 たった20分間の直談判で、著者は何を訴えたのか。そしてそこに至るまでにどんな苦労があったのか。 IMGの会長に手紙を書き、その後メジャーリーグ30球団すべてのGM宛に手紙を送る。イチローのエージェント、トニー・アタナシオにも連絡を取ったが、結局仕事にはありつけない。 普通の人ならとっくに挫折している状況でも、著
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