緑眩しい季節、梅雨前の東京の青空は清々しく気持ちが良い。 昨日は、高知から友人夫婦が遊びに来た。丁度一年前、武蔵小山『牛太郎』に招いて愉しいひとときを過ごしたのだが、今回は何処にお連れしようかと、チト悩んだ。 『牛太郎』で一人0次会を催そうと暖簾を潜ると酒朋モリンコが居た。隣りに座り、瓶ビールで乾杯。これぞ、地元の至福でアル。 そして、午後四時半、恵比寿駅へと向かう。 改札を出ると既に横山夫妻が到着していた。
武蔵小山の酒場『牛太郎』で、いつも一献交わす酒朋、ミスターミュージックの渡辺秀文さんから教えて戴いた映画「シュガーマン」を観た。 43年前に発売された一枚のレコードからこの物語は始まった。南アフリカと云う国の中で今も歌を唄い続けているシクスト・ディアス・ロドリゲス。哀愁漂う甘く切ないメロディとその歌声には誰もが無意識に魅了されることだろうナ。 跡形も無く消えた男、シュガーマン!南アフリカ、ケープタウンでは、ストーンズより有名だった。彼の歌に感化されて運動が起きたのだネ。 この映画、音楽モノの中で久しぶりの大ヒットですナ。是非、皆さんにも観て貰いたい一作です!ハイ。 ◇ ◇ ◇ さて、昨日は次の季刊ぴあの取材交渉を兼ねて、木場へ出掛けた。午後4時、『河本』の暖簾を潜ると真寿美さんもあんちゃんも長閑に寛いでいる最中だった。
行く春や鳥啼(な)き魚(うお)の目は泪 芭蕉 松尾芭蕉が俳諧紀行文『奥の細道』の旅のはじめの矢立ての句として選んだ句だ。 鳥が啼き、桜の花が舞い散る春、芭蕉は旅立つ前の友との送別の宴に於いて、料理に出される春魚の目と目が合ったのだろうか。 絢爛豪華な桜の花が見事に散り、蒼々とした新緑が春から初夏への移ろいを感じさせる。四季がはっきりとしている我が国の事。日本人のDNAの中には、この過ぎ行く季節を感慨深く哀惜(あいせき)するのだナ。 以前、川合玉堂画伯の描いた六曲一双の屏風作品「行く春」を観たことがある。 山間を流れる川に桜の花が流れている。画面の真ん中を覆う巨石の堂々とした姿と、はらりはらりと花びらを落とし始めている桜との対比が実に美しい。「行く春」と云う言葉が持つ移ろいの哀惜が見事に描かれた傑作だった。 玉堂の「行く春」、久しぶりにまたじっくりと眺めてみたい絵だナ。 ◇
ヤン・マーテルのベストセラー小説「パイの物語」をアン・リー監督が見事に映画化した。227日間トラと漂流して過ごした少年パイの壮大な物語なのだ。 ⓒ2012TwentiethCenturyFox 物語は、インドで動物園を経営するパイ少年の一家がカナダへ移住するために動物と共に貨物船で太平洋を航海中に嵐に襲われて船が難破し、パイだけが救命ボートで脱出し、一人生き残り漂流することとなった。だが、その小さな救命ボートにはシマウマ、オラウータン、ハイエナ、そして凶暴なベンガルトラも乗っていた。まさに現代のノアの方舟でアル。 自分以外の家族が全員海にのまれて死んでしまったのだろう、と思いながらも一人、凶暴なトラと小さなボートで生き抜いた少年パイの物語。 ヒンズー教にキリスト教、そしてイスラム教と3つの神を信仰するパイ少年だからこそ、決して諦めずに必死で生き抜く精神を宿していたのだろうナ。 「ブロークバ
冬最初の寒波を富山では「ブリ起こし」と云うそうだ。毎年1月4日は氷見(ひみ)漁協の卸売市場にて「初売り式」がとり行なわれる。 今は寒ブリが美味しい時季でアル。脂の乗り具合も良く、刺身でも照り焼きでも美味いが、ブリしゃぶで食べるのも実に美味い。 昔からブリが捕れると、他の魚がかからないと云われている。 魚の王様を憚(はばか)って他の魚は姿を消してしまうらしいが、実は昔の魚網は網の目が大きくて小魚は網の目からすり抜けてしまっただけだそうだ。さすが、冬魚の王様らしい逸話だネ。 氷見では、コゾクラ(ツバイソ)、フクラギ、ガント、ブリと名前を変える。この地方では、嫁の実家が亭主の出世を願って寒ブリを贈る習慣が、今でも残っているそうだ。 東京に暮らしていると、寒ブリは魚屋の切り身を買うのが当たり前だがカミサンの実家の岡山では丸々一本買ってきて家で捌くのだナ。大きい身だと切り分けて、ご近所さんにお裾分け
朝日新聞に連載しているコラム「帰ってきた食べテツの女」は、電車の旅好きのボクとしては毎回楽しみにしている。 しかもだ。今回は新潟駅を取り上げて、地酒「菊水」のオハナシなのだから堪らない。 食べテツ評論家の荷宮和子さんは、万代シティバスセンター内の立食いそば屋で名物カレー、二階の「みかづき」にて新潟のソウルフード、トマトソースがけ焼きそば「イタリアン」を食べた直後にも関わらず、JR新潟駅構内に在る定食処「ちゃぶぜん」で足を止めた。 お腹いっぱいなのに、どうしても入りたくなったのは「午後2時から5時まで新潟の銘酒菊水が半額!」という告知に惹かれたからなのだナ。 お店の女の子が升の中になみなみとコップから溢れる程に注いでくれる菊水を焼きたての栃尾揚げと共に味わう。 もう読み終えない内から、ヨダレが出て来たのだヨ。
小春日や石をかみいる赤とんぼ 村上鬼城(きじょう)が詠んだ名句だネ。 初冬の小春日和、赤とんぼがまるで石を噛むようにして暖かい陽射しに温う姿が浮かぶのだナ。 秋と冬の季語が重なった「季重なり」の句だが、この句は冬の小春日を強調しているのだろう。 深まる秋の午後、赤とんぼが交尾している姿を見かけた。 赤とんぼの成虫は越冬することが出来ない。故にこうして子孫を残し短い一生を終えるのだネ。小春日和の暖かい日が続いているが、少しでも陽の温もりの下を飛んでいて欲しいものだ。 ◇ ◇ ◇ さて、昨日は午前中で仕事を終わらせ、午後から休みを取った。 林試の森公園にちょいと立寄り、野鳥を捜す。
今月も今日でおしまいだ。 朝から会社の口座の入金確認をしながら何とか支払いを済ませることが出来た。だが、残高が足りず、僕の給料が出ない。週明けの入金確認を待ってみよう。トホホのホ! 北京のホテルの窓から見かけた鳥の名前が不明だったのだが、唐津出身のライター森一起さんから、その鳥の名は「鵲(カササギ)」だと教えて頂いた。 カササギは七夕伝説の中で織姫と彦星との間をつなぐ架け橋となる幻の鳥と伝わっている。九州などで見られるカササギは秀吉の朝鮮出兵の時に九州の大名達が朝鮮半島から持ち帰って、それが繁殖したらしいネ。 鵲の渡せる橋におく霜の 白きを見れば 夜ぞ更けにける 百人一首の中で、中納言大伴家持に七夕伝説を元にして冬の情景を詠ったものだネ。 カササギの渡した天の川が冬空に霜が降りたように白く輝く姿を眺めているといつしか夜も更けてしまった、とでも解釈すれば良いのかナ。 子供の頃に好きだったアメ
「工藤ちゃ~ん!」の名セリフは誰もが覚えているだろうネ。 松田優作主演のドラマ「探偵物語」に登場する服部刑事のセリフだ。 ドラマの中で強烈な個性の服部刑事役を演じていた役者、故成田三樹夫さんの遺稿句集「鯨の目」を手に入れた。 動かぬ庭に白き一蝶舞いあがる 書を捨てて風のひとふき読みにでかける 道をゆくわが一歩一歩の不思議かな 母の背やかかとに下駄のあたる音 青葉と風と日光に征服されてゆくおののき 鳥たちのとんでいった石の上に腰をおろす 胃ガンの為、1990年に55歳の若さで亡くなったが、生前は将棋と俳句をこよなく愛していたそうだ。 随分前にこの遺稿句集「鯨の目」の事を知ったのだが、秋田に在る出版社「無明舎」に問い合わせをしたらまだ残っているとの事で手に入れることが出来た。 故渥美清さんも俳句が好きで句集を出していたが、成田三樹夫さんの句も素晴らしかった。五七五ではない自由句で、病床で詠んだ
梅雨入り前のこの時季、東京は本当に歩いていて気持ちが良い。 路地を歩けば、そこはかとなく茉莉花の香りが漂って来る。樹々の上からは鳥の声も響き、蝶やトンボも長閑に飛び廻っているネ。 仕事場に着く道のりのあちらコチラで黄色い未央柳(ビョウヤナギ)の花が咲いているのを見かける。未央とは、唐の時代、楊貴妃が玄宗皇帝と住んだ「未央宮」にちなんでいる。葉の形が柳に似ているから未央柳となったと云われているそうだ。 楊貴妃にちなんだ花は幾つか有る。春に咲く花海棠(ハナカイドウ)もそうだネ。酒に酔った楊貴妃の桃色に染まる頬を見て、皇帝は「海棠の眠り未だ足らざるのみ」と楊貴妃をこの花に喩えたのだナ。 未央柳の艶やかな黄色の花は、楊貴妃の貴賓を表しているのだろうか。ハテ? ◇ ◇ ◇ さて、先日池袋まで吞みに出掛けた。駅の北口を出て、いつも行く『大都会』を横切る。道行く若い女
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