茨城県稲敷市押砂の祥雲寺が管理してきた共同墓地の所有権が裁判で市から寺に移ったことから、ここに代々の墓がある二十数軒の元檀家(だんか)が、寺院墓地だと主張する寺から「先祖供養は菩提(ぼだい)寺で」と墓地への立ち入りを拒まれている。 市が共同墓地としての運営を怠っていたために寺の所有権が認められた経緯もあり、元檀家は「市にも責任がある」と言及。市の誠実な対応が問われそうだ。 水戸地裁龍ヶ崎支部の2012年2月の判決などによると、墓地は1911年3月、十余島村(現稲敷市)の名義で登記。稲敷市の墓地台帳でも村が設けた共同墓地となっているが、管理は代々、祥雲寺の住職がしており、台帳上の管理者も住職になっていた。 発端は2010年6月。老朽化した本堂の建て替えを巡って離檀した元檀家から、墓地を使えなくなるのではないかと相談された市が「田口久克市長を管理者にする」と寺に通告したことだ。その後、市は墓地