旧白洲次郎・正子邸「武相荘」 (07年3月3日 佐藤弘弥撮影) 世の中 に花の名所は数あれど武相荘こそ物狂ほしけれ ひろや 1 白洲正子の感性と父親 白洲正子(1910-1998)さんという日本の文化に大変精通した女性がいる。平成十年(1998)に、お亡く なりになった方である。ある時、「西行」という著作に触れて以来、のめり込むというほどのことではないのだが、妙に気になり、ひとつひとつ本が溜まって いって、ついにはわが家の書斎に白洲正子コーナーができてしまったのである。 白洲正子さんの凄さは、その感覚にある。とかくインテリというものは理性の方が勝ちすぎていて、理詰め理詰めで息 が詰まるようなところがある。しかし白洲さんは、それがまったくない。何故このような彼女独特の感性が身に付いたのか。少しばかり考えてみたくなった。 結論から先に言えば、白洲正子さんの場合は、生まれっぱなしの潜在的な才能が