自然に訴える論証(しぜんにうったえるろんしょう、英語: appeal to nature)とは、「あるものが良いのは『自然』だからであり、悪いのは『不自然』だからである」と主張する議論や弁論術のことである[1]。暗黙の(明言されていない)「自然なものは良い」という大前提は、通常は良し悪しとは無関係であり、事実ではなく意見であるため、悪い議論であると考えられている[1]。 文脈によっては、「自然、天然」という用語の使用が曖昧で、他の概念との意図しない関連付けを引き起こすことがある[2]。また、「自然」という言葉は、「普通」という言葉と同じように、文脈によっては、暗黙の価値判断を伴うこともある[2]。「自然への訴え」は、結論が前提に内包されているため、このような問題を提起することになる[2]。 この議論の一般的な形式は、 「自然なものは良い/正しい」→「Nは自然である」→「したがって、Nは良い