東日本大震災は、人類とテクノロジーの関係に大転換を迫っている。大前研一氏は、そう指摘する。そして、福島第一原発事故「最大の教訓」とは何か。以下は、大前氏の指摘である。 * * * 政府は福島第一原子力発電所の復旧作業と被災地への対応に追われ、メディアもそれを刻々と報じている。目先の危機管理に関心が集中するのはやむをえないが、その一方で、日本で起きた今回の悲劇が全世界に根源的な問いを突きつけていることを忘れてはならない。この事故は「人類とテクノロジーの関係」に大転換を迫る契機を孕んでいるのだ。 これまで原発の安全性についてはマサチューセッツ工科大学のノーマン・C・ラスムッセン教授による「許容できる(事故発生の)確率」という概念が適用されてきた。この概念では、たとえば大リーグのワールドシリーズ開催中のニューヨーク・ヤンキースタジアムに、ラガーディア空港かJ・F・ケネディ空港を離陸した飛行機が墜