【長富由希子】家族や介護施設の職員らによる高齢者への虐待が2011年度は1万6750件あったことが21日、厚生労働省のまとめでわかった。被害者の約半数が認知症、加害者の6割は息子か夫だった。厚労省は「認知症を理解してもらう取り組みや、リスクの高い家庭への支援を強める必要がある」としている。 高齢者虐待防止法(06年施行)は、重大な虐待に気づいた人に自治体への通報を義務づけている。自治体が通報を受けて虐待と判断した件数は、前年度(1万6764件)とほぼ同じ件数だった。厚労省は「通報されていない虐待もある。通報制度のさらなる周知が必要だ」としている。 虐待がもっとも多かったのは「家庭内」で1万6599件。未婚の子どもと一緒に暮らしている高齢者が被害にあう事例が38%ともっとも多く、既婚の子と同世帯(24%)、夫婦2人暮らし(19%)がこれに続く。