中篇(表題作)が1篇と、短篇2つを収録。表題作「さいはての二人」は、主題がやや拡散気味で、主人公の美亜も外見はともかく内質の魅力には幾分乏しいようだ。そのことは同様に相手の朴さんにもあてはまり、在日被 中篇(表題作)が1篇と、短篇2つを収録。表題作「さいはての二人」は、主題がやや拡散気味で、主人公の美亜も外見はともかく内質の魅力には幾分乏しいようだ。そのことは同様に相手の朴さんにもあてはまり、在日被爆2世という設定も、なんだか種明かしのようで、かえって小説としての説得力を欠く結果になったように思う。一方、2つの短篇はよく似た発想で書かれているものの、作品に込められた二重、三重の喪失感が主題を十分に支えている。「約束」は、リアルにはともかく、小説的なリアリティは十分に確保されていると言えるだろう。 …続きを読む