十三は私にとって思い出深い町だ。大阪市淀川区の南西部にあり、すぐ近くを淀川が流れている。河川敷に出ると対岸に梅田の高層ビル群が見える。大阪に越してきたばかりの頃に始めたアルバイト先が大阪市北区の中津という町にあって、中津と十三は淀川を挟んで向かい合うような位置関係だったので、川を越えてよく遊びに行った。 最初に十三を案内してくれたのは居酒屋情報に詳しい飲み仲間で、料理が安くてやたらと美味しい大衆酒場「十三屋」や、広い敷地に常連客がわいわいと集う角打ち「イマナカ」など、後々まで印象に残るような店をいくつも紹介してくれた。 「じゅうそう」と読むのだということすら知らなかった私が初めてその町を訪れたのは、「しょんべん横丁」の愛称で親しまれてきた飲食店街が火災によって一部が全焼してしまった2014年3月から半年ほどが経った頃だったろうか。駅前には無残な焼け跡がまだ生々しく残っていたが、それでもなお
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