映画「恋する女たち」の主題歌にもなった「MAY」 私は、斉藤由貴の瞳は、占い師の水晶玉のようだと常々思っている。デビューした時から、あの輝きをウロウロと浮遊させる視線が美しくて怖かった。この世のものではない何かを見つめているようで。 普通の女の子とはちょっと違う、一つの言葉で100の意味を考えるようなキャラクターイメージは、デビューシングル「卒業」から早くも確立していた(「でも もっと哀しい瞬間に 涙は取っておきたいの」という松本隆の詞が見事!)。自分の世界を持っている、頑固で繊細な哲学的乙女。 彼女の歌声も曲も大好きだ。雰囲気も大好きだ。けれど、友達にはなれそうにない。勝手にそう分析し見ていた。 しかしある作品で、彼女がふっと隣に降りてきた気がしたのである。それは音楽ではなく映画。彼女が主演をつとめた『恋する女たち』である。 氷室冴子の原作ファンだった私は迷わず映画を観に行った。すると、